【初心者向け】エクセルが重い原因とその対策について解説

この記事では、20年以上のエクセル経験を活かして、ファイルの最適化方法や効率的なデータ管理のテクニック、さらには設定の見直し方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

この記事を読めば、エクセルを軽快に使いこなせるようになり、作業効率が格段に上がりますよ。それでは、さっそく詳しく見ていきましょう！

エクセルが重い原因とは

大量のデータが原因

エクセルに大量のデータを入力すると、その処理に時間がかかり、ファイルが重くなります。特に数万行以上のデータや複雑な計算が含まれている場合、メモリ使用量が増加し、エクセルの動作が遅くなる原因となります。

対策：

1. データを複数のシートに分割する
2. 不要なデータを削除または別ファイルに移動する
3. ピボットテーブルを使用してデータを要約する
4. 大規模なデータセットにはデータベースソフト（例：Access、SQL）の使用を検討する

重い関数や数式の影響

エクセルには、複雑な計算を行うための強力な関数が多くあります。しかし、関数が多くなるほど計算にかかる時間が長くなり、ファイル全体のパフォーマンスが低下します。特にVLOOKUPやINDEX MATCH、配列数式などは、データが多い場合や参照範囲が広い場合に、処理が遅くなる原因となります。

対策：

1. 可能な限り、シンプルな関数を使用する
2. VLOOKUPの代わりにXLOOKUP（Excel 2019以降）を使用する
3. 計算結果を値として貼り付け、不要な計算を減らす
4. 数式の参照範囲を必要最小限に抑える

不要なオブジェクトや画像の存在

エクセルファイル内に多くの画像、図形、グラフが存在すると、その分ファイルサイズが大きくなり、開くのに時間がかかることがあります。特に高解像度の画像や複雑なグラフは、ファイルを重くする大きな要因になります。

対策：

1. 不要な画像や図形を削除する
2. 画像は必要最小限の解像度に圧縮する
3. 複雑なグラフは、可能な限りシンプルにする
4. 装飾的な要素は最小限に抑える

エクセルの動作を軽くする方法

ファイルサイズの最適化

エクセルファイルが重くなっている場合、ファイル内の不要なデータや範囲を削除することで軽くすることが可能です。

最適化の手順：

1. 使用していないシートを削除する
2. 空の行や列を削除する
3. 不要なセルの書式設定をクリアする
4. 使用していない名前付き範囲を削除する
5. ファイルを別名で保存し、圧縮オプションを使用する

アドインの無効化手順

アドインはエクセルの機能を拡張する便利なツールですが、使用していないアドインがインストールされていると、エクセルの動作が重くなることがあります。

アドインの無効化手順：

1. [ファイル] タブをクリックする
2. [オプション] を選択する
3. [アドイン] をクリックする
4. [管理] ドロップダウンリストから [COM アドイン] を選択し、[設定] をクリックする
5. 不要なアドインのチェックを外し、[OK] をクリックする

キャッシュのクリア方法

エクセルは内部でキャッシュを利用して高速化を図っていますが、長期間使用しているとこのキャッシュが溜まり、逆に動作が重くなることがあります。

キャッシュのクリア方法：

1. エクセルを全て終了する
2. タスクマネージャーを開き、バックグラウンドで動いているエクセルのプロセスを全て終了する
3. 以下のフォルダ内のファイルを削除する：
   • C:\Users[ユーザー名]\AppData\Roaming\Microsoft\Excel\
4. エクセルを再起動する

開かないエクセルファイルの対処法

ファイル修復の手順

エクセルファイルが壊れて開かなくなってしまった場合でも、修復ツールを使って復元できることがあります。

ファイル修復の手順：

1. エクセルを開く
2. [ファイル] タブをクリックする
3. [開く] を選択する
4. 問題のファイルがある場所を選ぶ
5. ファイルを右クリックして [開く] の横の矢印をクリックし、[修復] を選択する

もし、この方法でも修復できない場合は、以下の方法を試してみてください：

• 別のエクセルファイルで、[挿入] タブから [オブジェクト] を選び、壊れたファイルを挿入する
• テキストエディタでファイルを開き、XML形式のデータを確認・修正する

セーフモードでの起動方法

山田先生：「エクセルが正常に起動しない時は、セーフモードが役立ちます。」

佐藤さん：「セーフモード？それって何ですか？」

山田先生：「セーフモードは、エクセルを最小限の機能だけで起動する方法です。車で言えば、エンジンだけで走る『リーンバーン』モードのようなものですね。」

セーフモードでは、アドインなどが無効化され、最小限の設定でエクセルが動作するため、問題の原因を絞り込むのに役立ちます。

セーフモードでの起動方法：

1. キーボードの Ctrl キーを押しながら、エクセルのアイコンをダブルクリックする
2. 「セーフモードで開きますか？」というメッセージが表示されたら、[はい] をクリックする

セーフモードで正常に動作する場合は、アドインや特定の設定が問題の原因である可能性が高いです。一つずつ有効にしていき、問題の原因を特定しましょう。

ウイルスチェックの重要性

山田先生：「エクセルファイルが開かない原因の一つに、ウイルス感染があります。」

佐藤さん：「えっ！エクセルファイルもウイルスに感染するんですか？」

山田先生：「はい、残念ながらそうなんです。エクセルファイルは、マクロという小さなプログラムを含むことができるため、悪意のあるコードが仕込まれる可能性があるんです。」

エクセルファイルのウイルス感染は、コンピュータ全体に影響を与える可能性があります。定期的なウイルスチェックが重要です。

ウイルスチェックのコツ：

1. 信頼できるウイルス対策ソフトを使用する
2. ウイルス対策ソフトを最新の状態に保つ
3. 定期的にフルスキャンを実行する
4. 不審なメールの添付ファイルは開かない
5. マクロを含むファイルは特に注意して扱う

もし感染が疑われる場合は：

1. ネットワークからコンピュータを切断する
2. ウイルス対策ソフトでフルスキャンを実行する
3. パスワードを変更する
4. IT部門や専門家に相談する

エクセルの自動保存機能とその影響

自動保存の設定確認方法

山田先生：「エクセルの自動保存機能は便利ですが、設定を確認しておくことが大切です。」

佐藤さん：「自動保存の設定って変更できるんですか？」

山田先生：「はい、変更できます。自動保存は便利な機能ですが、頻繁に行われすぎると逆に作業の邪魔になることもあるんです。」

自動保存機能は、作業内容を定期的に保存してくれる便利な機能ですが、設定によっては負荷の原因になることもあります。

自動保存の設定確認方法：

1. [ファイル] タブをクリックする
2. [オプション] を選択する
3. [保存] タブをクリックする
4. 「次の間隔でオートリカバリ用の情報を保存する」のチェックボックスと時間設定を確認する

推奨設定：

• 通常の作業では10分間隔
• 大規模なファイルや複雑な計算を含むファイルでは15〜20分間隔

自動保存が重くなる原因

山田先生：「自動保存が頻繁に行われると、エクセルの動作が重くなることがあります。」

佐藤さん：「どうしてですか？」

山田先生：「自動保存のたびに、エクセルは全てのデータと計算を保存しなければならないんです。大量のデータや複雑な計算がある場合、これがかなりの負担になります。」

自動保存が重くなる主な原因：

1. 大量のデータがある（数万行以上）
2. 複雑な数式や関数がたくさんある
3. グラフや図形が多い
4. 自動保存の間隔が短すぎる
5. ハードディスクの空き容量が少ない

対策：

1. 自動保存の間隔を長めに設定する
2. 不要なデータや計算を削除する
3. 複雑な計算は別シートにまとめる
4. ハードディスクの空き容量を確保する

手動保存のすすめ

山田先生：「大きなファイルを扱う時は、手動保存をおすすめします。」

佐藤さん：「手動保存ですか？でも、保存し忘れが心配です…」

山田先生：「確かにその心配はありますが、コツをつかめば大丈夫ですよ。手動保存は、自分でコントロールできるという利点があります。」

手動保存は、自動保存による不要な負荷を避けつつ、重要な変更を確実に保存する方法です。

手動保存のコツ：

1. 重要な変更を加えたら必ず保存する
2. 一定時間ごとに保存する習慣をつける（例：30分おき）
3. 休憩を取る前に必ず保存する
4. ショートカットキー（Ctrl+S）を使って素早く保存する
5. 作業の区切りごとに別名で保存し、作業履歴を残す

佐藤さん：「なるほど。でも、それでも保存し忘れることがありそうで…」

山田先生：「そうですね。心配な方は、自動保存と手動保存を併用する方法もありますよ。自動保存の間隔を長めに設定しつつ、重要な変更は手動で保存する。これなら、安全性と効率性のバランスが取れます。」

エクセルのバージョンと最適化の関係

最新バージョンへの更新

山田先生：「エクセルのバージョン、最新ですか？」

佐藤さん：「えっと、確認したことがないです…」

山田先生：「最新バージョンには、パフォーマンスの改善が含まれていることが多いんです。定期的な更新が大切ですよ。」

最新バージョンへの更新は、エクセルの動作を軽くする重要な方法の一つです。

最新バージョンの利点：

1. バグの修正：これまでの問題点が解決されることがあります
2. 新機能の追加：作業を効率化する新しいツールが利用可能になります
3. パフォーマンスの向上：内部処理が最適化され、動作が軽くなることがあります
4. セキュリティの強化：新しい脅威から保護してくれます

更新手順：

1. [ファイル] タブをクリックする
2. [アカウント] を選択する
3. [製品情報] セクションで [更新オプション] をクリックする
4. [更新] をクリックして最新版をインストールする

佐藤さん：「更新って難しくないですか？」

山田先生：「いいえ、基本的には簡単です。ただし、大規模な更新の前にはデータのバックアップを取ることをお勧めします。念には念を入れるということですね。」

古いプログラムの影響

山田先生：「古いバージョンのエクセルを使い続けると、新しい機能が使えないだけでなく、動作が遅くなることもあります。」

佐藤さん：「そうなんですか？でも、使い慣れたバージョンを変えるのは少し怖いです…」

山田先生：「その気持ちはよくわかります。でも、古いバージョンを使い続けるリスクも考えてみましょう。」

古いバージョンの問題点：

1. 新機能が使えない：業務効率化のチャンスを逃す可能性があります
2. パフォーマンスが低下する可能性がある：新しいOSとの相性問題で動作が遅くなることも
3. セキュリティリスクが高まる：古いバージョンはセキュリティホールが見つかっている可能性が高いです
4. 他のソフトウェアとの互換性の問題：新しいソフトとの連携が難しくなることがあります

対策：

1. 計画的に更新する：急な変更を避け、少しずつ新バージョンに慣れていく
2. トレーニングを受ける：新機能の使い方を学ぶことで、移行への不安を減らす
3. テスト環境を用意する：実際の環境で問題が起きないか、事前に確認する

佐藤さん：「なるほど。少しずつ慣れていけば大丈夫そうですね。」

山田先生：「その通りです。最初は戸惑うかもしれませんが、新しい機能で作業が効率化されるのを実感すれば、きっと楽しくなりますよ。」

バージョン間の互換性問題

山田先生：「異なるバージョンのエクセル間でファイルをやり取りする時、注意が必要です。」

佐藤さん：「え？何か問題が起こるんですか？」

山田先生：「はい。新しいバージョンで作ったファイルを古いバージョンで開くと、一部の機能が使えなかったり、表示が崩れたりすることがあるんです。」

バージョン間の互換性問題は、エクセルを使う上で避けて通れない課題の一つです。特に、チームで作業する場合や、取引先とファイルをやり取りする場合に注意が必要です。

互換性問題の例：

1. 新しい関数が使えない：例えば、XLOOKUP関数は Excel 2019 以降でしか使えません
2. 書式が崩れる：特に条件付き書式や図形の配置などで問題が起きやすいです
3. マクロが動作しない：VBAのバージョンの違いで、正常に動作しないことがあります
4. ピボットテーブルの動作が異なる：新しいバージョンの機能を使っていると、古いバージョンでは正しく表示されないことがあります

対策：

1. ファイルを保存する際、古いバージョン形式で保存する：
   • [ファイル] → [名前を付けて保存] → ファイルの種類で古いバージョンを選択
2. 互換性チェックを行う：
   • [ファイル] → [情報] → [問題のチェック] → [互換性チェック]
3. 重要なファイルは、異なるバージョンで開いてチェックする
4. 可能であれば、チーム全体で同じバージョンを使用する
5. 互換性の問題が起きやすい機能の使用を控える（どうしても必要な場合は代替手段を考える）

佐藤さん：「なるほど。でも、そんなに気を付けなきゃいけないなんて大変そうですね…」

山田先生：「確かに大変に感じるかもしれません。でも、これらの対策を習慣づけることで、多くの問題を事前に防ぐことができます。そして、スムーズな協働作業が可能になるんです。」

エクセルの関数が重い理由

計算方法の見直し

山田先生：「エクセルの動作が重い原因の一つに、非効率な関数の使用があります。」

佐藤さん：「え？関数って便利だと思っていましたが…」

山田先生：「関数は確かに便利です。でも、使い方によっては逆効果になることもあるんです。例えば、VLOOKUP関数を大量に使用すると、計算に時間がかかってしまいます。」

計算方法を見直すことで、エクセルの動作を大幅に改善できることがあります。

効率的な関数使用のコツ：

1. VLOOKUP の代わりに INDEX-MATCH または XLOOKUP を使う
2. 配列数式の使用を最小限に抑える
3. 複雑な IF 文の代わりに SWITCH 関数を使う
4. SUMIF や COUNTIF の代わりに SUMIFS や COUNTIFS を使う（複数条件の場合）

佐藤さん：「へえ、関数にも効率の良し悪しがあるんですね。」

山田先生：「そうなんです。適切な関数を選ぶことで、同じ結果をより速く得ることができるんですよ。」

計算シートの整理

山田先生：「計算シートが整理されていないと、エクセルの動作が重くなることがあります。」

佐藤さん：「計算シートの整理？具体的にはどうすればいいんでしょうか。」

山田先生：「そうですね。例えば、使っていない計算式をそのままにしていたり、データが散らばっていたりすると、エクセルの処理に余計な負担がかかるんです。」

計算シートの整理方法：

1. 不要なシートを削除する
2. 関連する計算は同じシートにまとめる
3. データの参照範囲を最小限に抑える
4. 計算結果を値として貼り付け、不要な計算を減らす
5. 数式の代わりに、ピボットテーブルを活用する

佐藤さん：「なるほど。整理整頓が大切なんですね。」

山田先生：「その通りです。整理された計算シートは、エクセルの動作を軽くするだけでなく、あなたの作業効率も上げてくれますよ。」

不要な関数の削除

山田先生：「使っていない関数や、重複している計算があると、それだけでエクセルの動作が重くなることがあります。」

佐藤さん：「えっ、使っていない関数って、放っておいても大丈夫だと思っていました…」

山田先生：「いえいえ、使っていない関数でも、エクセルはそれを計算しようとするんです。これが積み重なると、大きな負担になります。」

不要な関数を削除する手順：

1. [ホーム] タブの [検索と選択] → [数式] を選択
2. すべての数式を確認し、不要なものを削除または値に置き換える
3. 名前付き範囲で、使用していないものを削除する
4. INDIRECT 関数の使用を最小限に抑える（この関数は特に処理が重いです）
5. 大きな範囲に適用されている SUBTOTAL 関数を見直す

佐藤さん：「わかりました。でも、どの関数が必要で、どれが不要かの判断が難しそうです…」

山田先生：「確かに、初めは難しく感じるかもしれません。でも、ファイルの目的を常に意識し、各関数が本当に必要かを考えることが大切です。慣れてくれば、自然と判断できるようになりますよ。」

以上の対策を実践することで、エクセルファイルの動作を大幅に改善し、作業効率を上げることができます。エクセルは非常に強力なツールですが、適切に使用することが重要です。定期的にファイルの最適化を行い、快適なエクセル環境を維持しましょう。